陰ヨガ サドルポーズとパリエーション
ポール・グリリー先生の陰ヨガアプローチ
誰にでも当てはまる完全なポーズのバリエーションはありません
陰ヨガの第一人者 ポール・グリリー先生は「ヨガのアーサナ(ポーズ)の目的は、”Chi” のエネルギーのフローを体の中で調和させることである」と表現しています。
その上で、身体的な観点からアプローチするターゲットエリアを24箇所に分類しています。
ポールグリリー先生によると、ヨガのあらゆるポーズはこの24箇所のターゲットエリアに刺激を与える(ストレスを与える)ことを目的としています。
具体的には、以下のいづれかの方法でターゲットエリアに刺激を与えていきます。
- 伸張(ストレッチ)
- 収縮
- 圧迫
24のターゲットエリアは、骨・関節部位が14箇所・筋肉部位が10箇所に分類されています。
- 骨・関節部位(14箇所)
- 筋肉(10箇所)
さらに、ヨガの全てのポーズは7つの典型的なタイプに分類できるとして、この7つの典型タイプを一人ひとりの(あなたの)身体に適応させることを非常に重視しています。
自分(生徒さん一人ひとり)にあったバリエーションを適用することで、24のターゲットエリアにアプローチしていこうという考え方です。
14 (骨・関節)・10 (筋肉)・7(ポーズ典型)この教えが、ポールグリリー先生のレクチャーの中には何度もマントラのように繰り返されます。
- 14 / 10 / 7
とても印象に残りやすいですね。
サドルポーズのバリエーション
7つの典型ポーズの2つ目は「サドル」鞍のポーズです。
この記事では、サドルポーズの練習方法とそのバリエーション・軽減法ご紹介します。
サドルは陰ヨガのポーズです。
陰ヨガでは、1つのポーズでホールドする時間が3分から5分、長時間キープするのが大きな特徴です。
陰ヨガについての詳しい内容こちらの記事を参考にしてください。
サドルポーズはももが硬い人にとっては難易度の高いポーズになります。
サドルポーズはターゲットとなる部位が複雑なため、ポールグリリー先生はポーズを2つのパートに分解して理解すること推奨しています。
パート1(上半身)
- シール(アザラシ)
- 足を閉じる
- 足を開く(軽減)
- 肩を上げる
- 肩を下げる
- 手の位置(前方)
- 手の位置(肩の下)
- スフィンクス(軽減)
パート2(下半身)
- 正座
- ヴィラーサナ
- 足の上に座る(膝が痛い人)
- 足の間に座る
- 膝を開いて座る(ももが硬い人)
サドル
- ハーフサドル(軽減)
- サドル(ボルスターで背中全体をサポート・軽減)
- サドル(ボルスターを腰に入れる・強度高める)
サドルポーズの上半身の動き(腰椎へのアプローチ)を理解するために、シールのポーズを行います。
シールのポーズ一つをとっても、様々なバリエーションがあることがわかります。1つのポーズの形にこだわらないことが大切です。まずは自分で試して、経験を積み重ねていくことで自分にとって最適なバリエーションを試して見つけていくことです。経験を積み重ねることで初めて自分なりのセオリーが見えてくる、そのようにポール・グリリー先生は強調しています。
自分なりのエクスペリメント(実験)を積み重ねた経験値が、自分のセオリーを裏付ける証拠となるのです。
「セオリーに囚われすぎず、まずは自分で試してみること。セオリーは後からついてくるもの。」
ポール・グリリー先生は、ヨガのとても本質的な考えを教えてくれる師だと思います。
この記事で伝えたいメッセージは、ポーズの入り方そのものではなく一つのポーズを練習するためのバリエーションがこんなにもたくさんあること。そして、そのバリエーションのなかから自分にあった最適なバージョンを見つけていくことが大切だということです。
その経験の積み重ねが「自分の身体を観察し、心と体をつなぐ」ヨガの道につながっていくだろう、そんな風に感じています。
サドル・ポーズのターゲットエリア
- 太腿(大腿四頭筋)
- 腸腰筋
- 腰椎
- 足首
- 膝
一つのポーズでも、複数のターゲットエリアがある場合、どこをターゲットにするかでそのアプローチも変わってきます。
サドルポーズの場合、背骨にアプローチしたいのか、もも・腸腰筋をストレッチしたいのかで、最適なバリエーションは異なります。
ボルスターやブロックを仙骨の下に入れることで、より腰椎にストレスを与えて強度を上げることも可能です。
ももが硬い人の場合は、サドルに入る前に、ハールサドルを練習した方が良いでしょう。
「一人ひとり身体・骨格は皆異なる。誰にでも当てはまる完全なポーズは存在しない」という前提のもとではポーズの教え方・アプローチも変わってきます。
陰ヨガ・指導ポイント
ポーズの教え方
- ターゲットエリアを伝えること
- 2つ以上のバリエーション(軽減法)を提案すること。(生徒さん自身が試して、自分で感じて決めてもらうこと)
- 刺激・痛みを感じてはいけない部位を伝える
- 生徒さんからのフィードバック・ダイアログを通じて主体的に参加してもらうヨガクラスにすること