スーリヤベーダナ(太陽の呼吸法)
スーリヤベーダナ(太陽の呼吸法)は右の鼻から吸って左の鼻から吐く片鼻呼吸法です。ナディショーダナ(片鼻呼吸法)では、左右交互に行ないますが、スーリヤベーダナは、右から吸って左から吐くサイクルを繰り返します。右の鼻から吸うスーリヤは、体を温め活力を与えてくれるとても力強い呼吸法です。集中力を高めたい時にもおすすめです。
スーリヤベーダナがオススメな人
スーリャ・ベーダ・クンバカは老と死を破壊する。また、クンダリー・シャクティを目醒めさせ、体内の火を増殖する。
(ゲーランダ・サンヒター5章68節 佐保田鶴治 訳)
この最上のクンバカなるスーリアベーダナは頭の中を清掃し、バータ質の疾患をとり去り、寄生虫の害をとりのぞいてくれる。それ故に繰り返して行うのが良い。
(ハタ・ヨーガ・プラディーピカー2章50節 佐保田鶴治 訳)
スーリヤベーダナを行うことで太陽の性質が活性化されます。闘争反応、活発的、分析的、原理主義的、といった左脳的な性質を高めます。けれども、現代社会に生きる私たちのライフスタイルはあまりに忙しく、すでに太陽の性質に偏っている場合も多いです。
- 月の性質(右脳・副交感神経・陰・直感的・リラックス・クールダウン)
- 太陽の性質(左脳・交感神経・陽・論理的・アクティブ・熱を生み出す)
スーリヤベーダナは、右の鼻から吸って左から吐くサイクルを繰り返すため、それ自体で左右のバランスをとる呼吸法ではありません。
そのため、スーリヤベーダナの呼吸法が自分に合っているかどうかは、注意深く判断する必要があります。その人の体質によって、そして時間や季節によっても、左右のエネルギーバランスは異なります。その時、その季節で自分に合った呼吸法をチョイスしていきましょう。スーリヤベーダナが自分に合わないと感じる時は、ナディショーダナ(片鼻呼吸法)を練習しましょう。
スーリヤベーダナの効果
- 寒い冬の時期、体を温めてくれる
- 肺のトラブル、副鼻腔炎、気管支炎などヴァータやカパの乱れによる病気を改善
- 気持ちが落ち込みやすい時、活力を高めてくれる
スーリヤベーダナの禁忌
以下のような時には、チャンドラベーダナのプラクティスは控えましょう。
- 暑い夏の時期
- 妊娠中の方
- 高血圧の方
スーリヤベーダナのやり方
初めてスーリヤベーダナを行うときは、クンバカ(息を止める)なしで行うことをおすすめします。(クンバカの練習は上級者向け)最初のうちは、吸う息と吐く息の長さが一定になるよう(1:1)のペースで行います。無理することなく、自然に続けられる長さを選びます。(例:吸う息8秒、吐く息8秒)慣れてきたら徐々に呼吸の長さを長くしてみましょう。(1回のサイクルでのペースは変えない)
- 安定した座法で座る(瞑想の座位ポーズを参照)
- 右手でムドラーを組む(人差し指と中指を折り曲げる)
- 息を全て吐き切ってから、親指で右の鼻を塞ぐ
- 左の鼻を塞いだまま、右の鼻から吸う
- 右の鼻を塞ぎ、左の鼻から吐く
- 右の鼻で吸って、左の鼻で吐くサイクルを繰り返す(10サイクル〜5分程度)
まとめ。ヨガの呼吸法を毎日の習慣に。
スーリヤベーダナは、体を温めたい時、集中力を高め活力を得たい時にオススメの呼吸法です。けれど、毎日のプラクティスとして取り入れる場合は注意が必要です。その日たまたま、どちらかに偏っているというだけでは判断できません。長期的に自分の傾向を注意深く観察し、左右どちらに偏っているのかを見極める必要があります。
- スーリヤ(右)が過剰になりやすい職業かどうか(医者、弁護士、講師など集中力と論理的思考を必要とする仕事)→チャンドラベーダナが有効
- 睡眠の状態はどうか(睡眠過剰の場合はチャンドラ(左)が過剰な可能性あり)→スーリヤベーダナが有効
- うつ傾向にある場合チャンドラ(左)が過剰な可能性が高い→スーリヤベーダナが有効
その時、その季節、自分のライフスタイルによって自分に合った呼吸法を取り入れていく必要があります。スーリヤベーダナの呼吸法が自分に合っているかどうかは、注意深く判断する必要があります。スーリヤベーダナが自分に合わないと感じる時は、ナディショーダナ(片鼻呼吸法)を練習しましょう。