「パンチャクレーシャ」とは? ヨガが教えてくれる5つの苦しみの正体

パンチャクレーシャ(5つの煩悩)とは?

お寺で行っているヨガクラスでは、アーサナ(ポーズ)や呼吸法の練習だけでなく、ヨガの哲学的な教えも少しずつ紹介しています。今回は、ヨガ・スートラに出てくる「パンチャクレーシャ(5つの煩悩)」について、クラスでお話しした内容と、仏教との共通点についてブログにまとめてみました。


「この世界はコントロールできないけれど、自分の心は整えることができる」

ヨガの聖典『ヨガ・スートラ』には、私たちが抱える苦しみには5つの根本原因(=クレーシャ、煩悩)があると説かれています。これらは心のクセのようなもので、無自覚のうちに私たちの行動や選択を縛っている存在です。


パンチャクレーシャ(5つの煩悩)

  • アヴィディヤー(無知)
    • 一時的なもの(お金・健康・評価など)を永遠に続くものと勘違いしてしまう。
    • その勘違いが執着や不安のもとになる。

  • アスミター(自我意識)
    • 名前、肩書き、身体、心など「持っているもの=自分」と思い込む。
    • 変わりゆくものを「本当の自分」だと誤認し、苦しみが生まれる。

  • ラーガ(欲望)
    • 欲が満たされないことで、イライラや苦しみが生まれる。
    • 過去の快楽の記憶にとらわれて「もっともっと」と求めてしまう。

  • ドヴェーシャ(嫌悪)
    • 過去の痛みや失敗経験から「避けたい」という反応がクセになる。
    • 新しい経験や可能性に心を閉ざしてしまい、自由を失う。
  • アビニヴェーシャ(死への恐れ)
    • 変わること、終わることへの恐れ。
    • 「今の自分を失いたくない」という執着から苦しみが生まれる。

仏教との共通点は?

ヨガの「煩悩(クレーシャ)」と、仏教における「三毒(貪・瞋・痴)」や「無明(むみょう)」との間には多くの共通点があります。

ヨガの煩悩仏教の教えとの共通点
アヴィディヤー(無知)無明(真理への無知)
アスミター(自我意識)我執(「自分」への執着)
ラーガ(欲望)貪(むさぼり)
ドヴェーシャ(嫌悪)瞋(怒り・拒絶)
アビニヴェーシャ(死の恐れ)輪廻や執着、苦から逃れたい心の癖

ヨガと仏教、アプローチは異なりますが、「苦しみはどこから来るのか?」という問いへの答えには、大きな共通点があります。


ヨガとは心の静けさを取り戻す道

ヨガ・スートラの有名な言葉に、

“ヨーガ・チッタ・ヴリッティ・ニローダハ”(ヨガとは、心の作用を止滅すること) があります。

この心のざわめきが静まったとき、本当の自分(観察者)に気づくことができる—— それが、ヨガの本質であり、煩悩から自由になる鍵でもあります。

日々のヨガの練習を通して、少しずつ心のクセに気づき、「本当の自分」とつながっていくプロセスを一緒に楽しんでいきましょう。

<ヨガクラスでの配布資料です。AI画像生成で作ったので、誤字脱字はご容赦ください☺️>