クリヤーヨガは、「簡素さ」、「自己探究」、そして「至高の存在への祈念」から成り立っています。
『ハタヨガプラディピカー』における「クリヤー」は浄化法を指し、肉体的な浄化を行うための6つの実践方法が紹介されています。『ヨガスートラ』では、心の動きを止めたり集中したりすることが難しい場合、何から始めれば良いのかという弟子の質問に対し、パタンジャリ師がクリヤーヨガの実践について教えています。
クリヤーヨガは、次の3つの行為から構成されています。
- タパス(簡素さ)
- スヴァーディヤーヤ(自己探究)
- イシュワラ・プラニダーナ(至高の存在への祈念)
「タパス」は一般的に「苦行」と翻訳されることが多いですが、ここではGregor Maehle氏の解釈を参考にし、「簡素さ」と呼ぶことにします。
Maehle氏によると、私たちは常に「自分を甘やかせ」や「自分の願望を満たせ」といった欲望に心が向かっています。しかし、そのような心の声に従うことは、私たちを自分の願望や欲望の奴隷にしてしまいます。簡素さとは、自分の人生に対して責任を持つことを意味します。つまり、自分自身が本当に幸せになるためには、何も必要ないのです。ただ、自分自身の本当の姿を知ることが重要であり、それを実現するために簡素な生活を送ることで心を集中させることができます。絶え間ない外的刺激に従ってしまうと、私たちは本来の自分から離れてしまいます。
私自身も、何をしたいのか、何が自分の強みなのか、どのように自分の得意なことを生かして働くのかについて迷子になってしまい、自分のことばかり考えています。
様々な資格を取得し、学びを深めてきたものの、自分のやりたいことなんて全く見えない。
ヨガの実践を通じて自分の心に向き合うことで、自分の本当の姿は外ではなく、内面にこそ見出せることに少しずつ気づいてきました。
毎日毎日、太陽礼拝をしていると同じことを繰り返し思考している自分に気づく。昨日までやりたかったことが、今日は急に気が乗らなくなり、心地よい方向に流される日々を過ごしています。
タパス、つまり簡素な生き方を実践するための最善の解決策は、「自分の心の声を聞かないこと」かもしれません。
私たちの心は常に刺激的な情報や魅力的なものに反応し、揺れ動いています。
本当の自分の生き方を見つけたければ、自分の内面に向かい合うしかない。自分の中にある声に耳を澄ませなくていけない。外部の刺激に惑わされてはいけない。それが私のタパスの理解です。
至高の存在を受け入れることは、私たち自身が宇宙の中心ではないと理解すること。
私は自分が幸せになるために、自分の夢や願望を叶えるために生きることが人生だと信じてきました。けれどヨガの教えでは、私たちが生きる目的は、自分が幸せになるためではなく、至高の存在、この宇宙に仕えるために存在しているのだと教えてくれます。
自分のエゴを手放し、消費、所有、権力、承認欲、金銭欲に依存することなく、ただ自分の心を磨き、練習と実践を通じて本当の自分を知ることに集中する。そうすれば、心のざわざわ、もやもやは鎮まり、クリアな思考で自分の方向性が見えてくるのかもしれない。
自分の生活にタパス(簡素さ)の精神を取り入れること。私にとってタパスとは自分の心の声に従わないことを意味します。心の声は外の刺激に振り回される暴れ馬のような存在です。ただ、自分が決めたサーダナにコミットし、セルフプラクティスを続け、シンプルな生活習慣を送ること。これが私のタパスです。